2018年1月24日水曜日

同じ練習メニューを繰り返し行うことについての考察

最近に限ったことではないですが、多くの方から”普段はどういう練習をしているのか。”と有り難いことに尋ねられる機会が増えたので、ある練習についてご紹介したいと思います。
と言っても、特別な内容のものでは無く、ある程度の環境さえ整っていれば多くの方が取り入れることが出来るものかと思います。
参考程度に読んでいただければ幸いです。

2016年の3月より、週一で同じ登坂メニューを繰り返しています。もちろん今日に至るまで毎週です。
内容としては、実走においてある峠を2∼3本をリピートして登る、という至ってシンプルな内容です。
例えば、本日の内容としては

3 × 12mins (Normalized Power(NP):sst ∼ LT(330 ∼ 360w))(today's weight:67kg)

① Dis 3.09km aveHR 166bpm avePower 316w  NP 328w  4.9w/kg
② Dis 3.23km aveHR 165bpm avePower 333w  NP 345w  5.1w/kg
③ Dis 3.36km aveHR 167bpm avePower 343w  NP 361w  5.4w/kg

12分 という時間に関しては以前もご紹介しましたが、MTB XCO競技において 競技時間約90分のうちの1周回約15分で、完全に下り区間で脚を休めることが出来る時間 3∼4分を 15分から差し引いた時間ということで 12分となっています。
残念ながら、コース頂上付近の道路の土砂崩れにより、2017年11月より全く同じコースを使用できなくなってしまったものの、コース中の分岐点までは使用でき、コース中の 3/4は変わらない区間となっています。
もちろん、スタート地点は同じポイントに定めています。
使用機材に関しては、29er MTB(もちろんブロックタイヤ)のみを使用しています。
路面状況に関しては、全てが舗装されており天候による変化に依存しづらい環境です。

数値以上に、なぜ同じ峠で同じ内容の練習を繰り返すのか、という点に疑問がいくのではないかと思いますが、主な理由は2つあります。

1つ目は、定量測定における評価のし易さです。

ホビーライダーにとってのネックになる部分として、練習メニューの決定というものがあります。
練習メニューを与えられるのではなく、自ら考え決めなければなりません。
また、色々なメニューを行ったからといって、必ずしも競技レベルが向上するとは限りません。
上記の理由から固定メニューを組み、メニュー思考の時間を省くことが出来るわけですが、真の目的は実は違います。
それは、練習に対する評価がし易い、ということが挙げられます。
同じ場所で、登坂回数を重ねていけば、必然的に得られるデータ数も増えていきます。
このデータを頼りに、前回、または昨年の今頃、と比較して、どの項目の数値が高かったor低かった、良かったor悪かった、等の評価を可視的に行うことが可能となります。
更には、次回以降により良い練習を行うための手がかりも、そこから得られることも可能です。
この考え方で面白いことは、出力値が高い≒タイムが速いということです。
なぜ完全な=(イコール)関係にならないのかというと、細かい区間でアクションをその都度変更しているという点にあります。
アクションに関しては、基本はシッティングで出力をキープすることが多いのですが、例えば週末がXCOやcyclocrossのレースであるとすると、短時間のダッシュが多いアクションの刺激として、斜度が急な区間はダンシングで踏み倒す、緩い斜度は軽いギアで脚を休め気味にする。逆に週末がヒルクライムやMTBマラソン系のレースであるとすると、出力の上下変化を抑え一定に負荷を掛ける、と言ったことを心掛けるようにしています。
それがあってのタイムリザルトです。(画像参照)レースシーズンや乗り込みシーズンの違いで、例えタイムが同じであっても出力値が違うことは当然かと思います。
逆に、アクションを起こせるということは、ある目標とするタイムにおいて、ある程度最終的な出力を調整できるということが出来る、ということに繋がります。
タイムや出力を自由に調整出来るということは、同じコースを走り続けているからこそ、身に着けることが出来る能力でもあるのかと思います。
同じ場所で同じメニューを繰り返す、1つ目の理由がこれです。


2つ目は、レースにおける安定感の向上です。

最近は、この理由を狙って上記の練習内容を行っていると言っても過言ではありません。
なぜ、安定感の向上に繋がるのか。それは、この練習自体をどのような体調であっても、どのような気象状況においても必ず継続している、と言うところにあります。
レースでの成績の半分以上は、コンディション、によって決まるものと私は考えています。
そのコンディションというのは、会場であったり、天候や、路面状況といった部分もありますが、大きな部分はそのライダーの体調が主です。
体調が悪かったから、今回のレースは振るわなかった。以前は私もこういった理由で大事なレースを落とすことが多かったと記憶しています。
上記の練習内容では、ペースメイクに対しての安定感と自身のコンディション(体調)に対しての安定感と、それぞれ2つの安定感を同時に強化できると考えています。
ペースメイクという点に関しては、毎週のように登っている峠なだけに、この地点でこのタイムこの出力値と分かれば、最終的にどのぐらいのタイムでこの地点まで行くことができる、この出力値で終えられるということも走行中に容易に想像できます。
また、自身のコンディションに関しては、走ることが出来る状態であればどんな体調でも必ず行っている練習です。
それこそ出力値こそ日によって多少は変化させますが、時間や本数は最低でも 12分を 2本を課しており、更には天候も毎回晴天とは限りません。曇りや雨、雪など様々な環境下で走ります。
そうなると、自身の調子が良い日の走り方、また調子が悪い日の走り方と、調子の良し悪しに関係なく同じような走りをすることが要求されます。
その結果、このコンディション、またはこの天候であれば、これぐらいの感覚で行けば目標とするタイム・出力値に到達することが出来る、というものが自然と分かってきます。
上記の練習内容を通じて、この感覚であればこの目標が達成できる、という可視的ではなく感覚的な能力が、自然と身に着いてきていると実感しています。


以上の 2つが主な理由です。

しかし、毎週やらなければならない、と言った責務のような感情はあまりなく、むしろ今日はどれぐらいで行けるのか楽しみといった感情の方が大きいです。
ライフタイムアスリートではなく、あくまでも趣味として自転車に乗るアマチュアライダーとして、まずは練習から楽しむことが基本かと思っています。
それは、練習そのものが楽しいだけでなく、自分自身が進化していく過程が楽しい、というものでもあります。
色々訳ありで、上記の練習内容を行えるのは今年の 3月までとなってしまいそうですが、それまではしっかり通い詰めたいと思います。
限られた時間の中でしか練習出来ないアマチュアライダーとして、いかに効率良く練習できるか、という点にフォーカスを置き練習を考えてきました。
今後も、こういった練習とともに、更に上のレベルで走ることが出来るよう引き続き精進していきたいと思います。

最後になりますが、長文にお付き合いいただきありがとうございました。
練習について、お気軽に聞いていただければ幸いです。可能な限りお答えいたします。


2018年1月24日 宮津

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