2017年6月30日金曜日

UCI mountain bike marathon world championships 2017


UCI mountain bike marathon world championships

2017年6月25日(日)開催

出走カテゴリ:elite men(48.5km×2 laps = 97km)

天候・コースコンディション:晴れ・ドライ

リザルト:115位/176人出走(160人完走)

サポート・バイクメンテナンス:PAXPROJECT

Ride data of PAXPROJECT XC-29er Di2 with garmin edge 520

Distance:97.5km time:3°49'55"  ave speed:25.4km/h   elevation gain:2100m

wheel / tire:PAXPROJECT carbone fat rimtape less / IRC tire MIBRO for marathon TLR front&rear 1.8 bar

Ave power:251w  Normalized power:304w TSS:280 work:3,457kJ

Power data recording medium:SRAM XX1 Quark (wolftooth 34t)


6月25日 ドイツ-ジンゲンにて開催のMTBマラソン世界選手権に日本選手代表として参加させて頂きました。

日本国内では公式XCMレースが無いため、どのような競技性のレースであるのか認知度が低いですが、自転車ロードレースを未舗装路でかつ起伏が激しいコースがメインで行う競技であり、本場ヨーロッパではUCIシリーズが多く開催されるほどのメジャーな競技でもあります。

シーズン上半期の目標の一つとして考えていた今大会。
国内のCoupe du Japonシリーズにおいても優勝することができ、調子は上向きで、レースに向けての調整期間は順調にこなせていました。

ドイツに現地入りしてからも、時差ボケ等の環境変化による身体への影響が心配されましたが、影響はさほど無く、国内のレースと比較的近い状態でレースに臨むことが出来ました。

レースが行われたコースは、1周回48.5kmあたりの獲得標高1200mで、舗装路、砂利道、農道の芝生区間と3種類の路面のパターンが存在するコース。
1~2kmほどの短い登りと下り繰り返しであるものの、登り区間も長い場所で3~4kmと短く、常にペダルを回していることが要求され、全体で足を休められる区間が少なく、距離は全体で97kmなものの、ハイスピードで展開されるであろうコースレイアウトでした。
目標は50~100位以内と定め、レース当日までできる限りのことはやりました。

レース当日は曇天。
しかし、日中にかけて気温が上昇することが予想されため、想定レース時間に対して少し多めに補給を準備しレースに備えます。

各国のエース級ライダーばかりが出場するレースなだけあり、レース前のコールアップの段階から、会場の雰囲気に飲まれそうな緊張具合でした。

スタート位置は大体15列目の真ん中あたり。

10時20分(現地時間)男子エリートレースがスタート。

スタート直後からほぼ全開走。
集団の中ほどに位置し、上手く前方に上がろうと試みましたが、どのライダーも考えていることは同じなようで激しい位置取り争いがこの時点から起こっていました。
また集団落車のリスクを避けたかったため、どうしても守りの態勢に入ってしまいスタートポジションの順位をキープすることで精一杯でした。

道幅が一気に狭くなる左コーナー後のトンネルの下で、一気にスローダウン。
幸い後方で発生した落車には巻き込まれず、そこから本格的な登り区間のスタート。

登り区間が始まるも、周りのライダーとかろうじて同じスピードで走る程のペース。
決して私自身の調子が悪いのではなく、周りのライダーのレベルが”その程度”のものであり、この時点で世界選手権という舞台を走るライダーの脚力レベルを目の当たりにしました。

短い登りと下り繰り返しであるものの、登りで乱れた呼吸を整える間もなく、一気に下り区間へと入り、下り区間ではローテーションを組みながら、少しでもトップ集団との差を縮めるために緩い下り区間でもペダルは回し続ける状態。
身体的にも精神的にも、ほとんど余裕は無く、集団内の前のライダーについていくため必死でペダルを回します。

10km過ぎの登り区間で順位は目視で80~90位ほど。やっとトップの大集団に私の居た子集団がドッキングするものの、集団後方であるのでペースの変化が激しく、集団から離れたり、再び追いついたりの繰り返しで、この行為が、無駄に足を使ってしまっている感覚がありました。

マイペースで走ることは許されない、徐々に前に上がることは出来ず、かといって前のライダーとの距離を少しでも開けると、後ろのライダーから罵声や檄が飛んでくる。
一列帯の集団の走りに上手くペースを合わせることが要求されましたが、イマイチペースが嚙み合わず、細かいペースのアップダウンで徐々に体力を消耗していきました。
私自身で分かってはいたものの、序盤は明らかなオーバーペースでしたが、ここで引き下がるわけにはいかないという本心がありました。

Photo by : Norbert Mayer さん

25km地点あたりの少し長めの登り付近で、90位前後の順位。
この時点で既にトップ集団は遥か彼方へ、かろうじて第二集団が見える位置の子集団で展開します。
このあたりから早くも腰に痛みが出始め、集団内で痛みに耐えながらの走りが続きました。
しかし、集団から徐々に脱落。
脱落した選手同士で、また子集団が形成され、再びローテーションをしながらレースを進めていきました。

1周回目終了前のシングルトラック区間で、集団前方のドイツの選手が落車。
集団後方に位置していた私はすぐに反応出来ず、一旦ストップ。
この行為でしばらく単独走行状態に。

1周回目終了時点で105位。
この順位を告げられ愕然とするとともに、気負いのようなものが消え精神的に楽になるような感覚はありました。

2周回目は、前方から下がってきた選手や後方から上がってきた選手と共に、ペースダウンを抑えるべく進めていきますが、1周回目より明らかにペースガ落ちてしまっている感覚であるものの、周りのライダーから遅れるといったものは無く、周りのライダーも1周回目はオーバーペースであったことが伺えました。

腰の痛みもある時をピークに、そこから激痛は無くなり、やっと本来の走りが出来きるようになるものの、脚力は既にほとんど残っておらず、精神的にもかなり疲労している状態でした。

登りにおいても1周回目のようなパワーは出せず、ひたすら耐える我慢の走りを強いられました。
上位集団の争いからは脱落してしまったものの、順位を落とすことなく、1秒でも早くゴールし、しっかり完走しようという目標に切り替え淡々とペダルを回しました。

Photo by : Norbert Mayer さん

残り5kmあたりで後方から上がってきたグレートブリテンのライダーに背中を押され、一気にペースアップ。
2名でローテーションし競いながら、ゴールを目指しました。

そして、ゴール前の最後の直線へ。

初の世界選手権は115位という結果で終えました。


順位での目標を50~100位以内と定めていただけに、結果からみれば不満なものとなってしまいましたが、レース内容からみれば、序盤のハイペースにしっかり対応し攻めの走りをすることが出来た点については満足しています。

しかし、スタート直後のポジション取りや、集団内での位置取り、また登坂でのパワー不足や、後半のスタミナ切れといった、根本的なフィジカル面の弱さであったり、体力レベルの低さをヨーロッパのライダーと比較し実感しました。

今回のレースを全体的に考え、何が足りていて何が足りていなかったのか、また足りていなかった点はどう補えば改善されるのか、ということを考え直し、今後のレースに活かしたいと思っております。

日本選手団で
Photo : 門田さん
最後になりますが、日本からたくさんのご声援本当にありがとうございました。

次戦はCJ-1 田沢湖、そしてMTB全日本選手権となります。

今後ともよろしくお願いします。


team PAXPROJECT  宮津




2017年6月14日水曜日

Coupe du Japon CJ-1 白山 一里野

Coupe du Japon CJ-1 一里野

2017年6月11日(日)開催

出走カテゴリ:男子エリート(start loop + 6 laps)

天候・コースコンディション:晴れ・ドライ/マッド

リザルト:1位 / 66名出走(21名完走)

サポート・バイクメンテナンス・メカニック:PAXPROJECT

Ride data of PAXPROJECT XC-29er Di2 with garmin edge 520

Distance:24.8km time:1°17'25" ave speed:19.3km/h

ave heartrate:175bpm max heartrate:185bpm

wheel / tire:PAXPROJECT carbone fat rimtape less / IRC tire front:STINGO XC TLR 1.6 bar, rear:MYTHOS XC TLR 1.6bar

  Normalized power:335w TSS:114.9 work:1,172kJ

 Power data recording medium:SRAM XX1 Quark (wolftooth 32t)


Coupe du Japon CJ-1 一里野大会に参戦してきました。

SDA王滝からの連戦となった、CJ富士見パノラマステージでは思い描いていた走りが出来ず、どのようにすればさらに速く走ることができるのか、良い結果を出すことができるのか、と考え今大会に向けて調整してきました。

また、この一里野ステージは、昨年のレースにおいても3位に入賞しており、比較的相性が良く、単純な登りがメインなコースであるため、コースに対しての得意意識はありました。

さらに、いつものCJ戦であれば、3位以内入賞等あまり明確な目標を立てない私ですが、今回は調整段階において調子が良いと把握できたため、目標を”優勝”という高い位置に定め、多少のプレッシャーを感じながらレースに臨みました。


レース前日に午後から強い雨が降り、ドライコンディションであったコースが一気にマッドへと変化。

しかし、レース当日は快晴となり、ゲレンデ部分の地表はドライコンディションなものの、後半のシングルトラックは変わらずスリッピーなマッドコンディションという、路面コンディションを見極めたタイヤ選択、タイヤのエア圧設定が今回のポイントになりました。

私が重視したのは、ドライコンディションのゲレンデ区間より、マッドコンディションのシンングルトラック区間。
タイヤはフロントとリアと別のものを選択し、漕ぎが重くならなく、かつマッドコンディションに対応することが出来るタイヤを考え、選択しました。

レース前のアップでは、ローラーを回し身体を温める段階においても、脚が良く動き、上半身と下半身が上手くリンクし、無意識でもペダルを回せるほどの調子の良さでした。

過度な緊張や不安は少なく、精神面も安定した状態で、今日は”できる”というはっきりとは分からない何かを持ち、スタートラインに並びました。

レースは定刻通り、13時30分から。
スタート位置は最前列左寄り。


スタート直後は、なかなかペダルがはまらず、一時は15番手ほどに埋もれてしまいましたが、焦らず前を追い、その後のスタートラップ登り区間で6~7番手までポジションを上げます。

ファーストラップは6位で終え、その後も徐々に順位を上げ、2周回目のゲレンデ頂点区間の登りで2位まで浮上出来ました。
その後は、ブリヂストン アンカー サイクリングチームの沢田選手とランデブ状態になるものの、コース終盤のシングルトラック区間で5秒ほどの差を付けられてしまい、そのまま2周回目を終えます。

しかし、3周回目の序盤で沢田選手に追いつき、再びランデブ状態になります。


この3周回目、通常であれば一旦ペースを落ち着かせ、終盤に向け体力を温存したいという思考が働きますが、付け入るスキはそこにあるのかと考えました。

最終周回とそのラスト1周回前は、誰しもがペースを上げられるよう最大限努力をしますが、私の場合ラストスパートのキレがなく、また下り区間でのミスは後半の方が多いため、最終決戦に持ち込まれてしまうと勝ち目が薄くなってしまうと考え、レース中盤前には勝負を付けたいと今回は考えていました。

さらに、この3周回目においてペースを落とさない走りをするほか、もう一つ意識したことは、沢田選手の登りでの動きを観察するといった、動きパターンの把握でした。

 コース全体で考え、ゲレンデ頂点区間前の登りからの中盤から終盤にかけての区間は、沢田選手に遅れてしまうものの、序盤から中盤の区間は私の方が踏めていると3周回目時点で把握出来ました。
また、2周回目と3周回目を比較して、沢田選手のペースが落ちた区間、ペースが変わらない区間を確認し、4周目または5周回目のどのあたりの区間でスパートを掛けるのかを考え、レースを進めていきました。

3周回目を終え、4周回目へ。

周回直後の直登で一気に先頭へ。
スパートのタイミングは4周回目序盤と定めます。
舗装路の下りで少し息を整え、最下部からの登り区間で一気にペースを上げました。

この行動でフィード区間までに、10秒ほどのタイム差を得ます。
しかし、60秒ほどの差が欲しいと考えており、さらにペースを上げる意識で果敢に攻めました。

その後の5周回目、6周回目と単独首位状態に持ち込みレースの主導権を握ります。

周回を重ねるごとに、身体にも徐々に疲労が現れ、楽をしたいと考える思考が働き何度もペースを落としそうになります。

その中で思い浮かべたのは、過去の自分の情けない走りでした。
UCI marathon seriesでペースが落ちてしまい惰性でしか走れなかった自分。
今年のSDA王滝で一旦バイクから降りて立ち止まってしまった自分。
前々週のCJ富士見で精神的な負の感情に負けてしまった自分。

今回は自分に絶対負けたくない。

他の選手ではなく、本当の己に勝ちたい。
そう思い、必死でペダルを踏みこみました。


7周回目、ラストラップに入るも攻めの気持ちは変わらず。
登りにおいても、ひと区間ごとを大切にすべてを出し切る意識で、また下り区間も最速のベストラインで攻めます。
それでも、最後まで何が起こるか分からないレースであるだけに、最後のシングルトラックが終わるまでは油断はせず、集中して走りました。

終盤のシングルトラック区間を終え、ゲレンデを降り、勝利を確信。


Coupe du Japon CJ-1レースにおいて、初めての勝利を手に入れることが出来ました。

PAXPROJECTチームにおいても、そしてアマチュアのクラブチーム史上においても、Coupe du Japonが始まって以来の歴史を変えることができ、とても嬉しく思っております。


私が本格的にXCO競技に参戦し始めたのが、3年ほど前から。
国内の最高峰のエリートレースを走るようになったのは去年度から。
エリートレース2年目にして、掴み取った勝利ですが、現在所属しているPAXPROJECTチームに入っていなければ、このようなことは達成できなかったのではないかと考えています。

PAXPROJECTチームは、勢いのある若手選手と、経験やスキルのあるベテラン選手といった2パターンの選手がいます。
そのどちらの選手も共存できるのは、互いの強い部分、弱い部分をそれぞれ把握し、様々な視点から指摘をし合い、色々な意見を交換できるからなのではと考えております。
さらに、チーム環境においても、”ひとりでそれぞれの”ではなく、”ひとりはみんなのために”、”みんなはひとりのために”といった、他の選手に対しての思いやりのあるチーム内環境です。

チームの色々な方々に支えられてきたからこそ、今回の優勝があり、チーム全員で勝利を掴み取った瞬間だったのではないかと、振り返ってみて思っております。

ですが、私個人としてもチームとしても、今回の勝利に甘んじることなく、また次の1勝を掴み取るためにも、突き進んでいきます。


最後になりますが、沢山のご声援、最高のサポートをして頂き本当にありがとうございました。

これからも、ジャージの肩に刻まれた”Joy”という言葉を胸に、競技の全てを楽しめるライダーを目指し、精進します。

ありがとうございました。



team PAXPROJECT 宮津


Thanks photo: 伊東 様, 素晴らしい写真をありがとうございます。