2016年9月27日火曜日

Coupe du Japon CJ-1 妙高杉ノ原

Coupe de Japon 妙高杉ノ原

2016年9月24日(土)開催

出走カテゴリ:男子エリート(3.4km×7周回)

天候・コースコンディション:曇り・マッド

リザルト:7位/50名出走

サポート・バイクメンテナンス・メカニック:PAXPROJECT

Ride date of  PAXPROJECT XC-29er Di2 with garmin edge 520

distance:22.9km  time:1°34'40"  ave speed:14.6km/h

ave heartrate:172bpm  max heartrate:185bpm

ホイール / タイヤ:PAXPROJECT carbon tubular / A.Dugast Rhino XL 47c  F:1.5bar R:1.6bar


CJ白馬SDA王滝と連戦で続き、それに次ぐ3連戦目となるCJ-1妙高に参戦しました。

前日まで降り続いた雨の影響で、コースの舗装路以外の区間はほぼぬかるんだマッド状態。

6月にこの地で行われたCJ-2のドライコンディションのイメージを持って臨みますが、ハイスピードコースから、ハイパーマッドへと変化したことにより、コースに対する意識を完全に改める必要がありました。

前日入り出来なかったため、当日の朝一で試走。
マッドへの意識付けを行いコースの流れをつかみます。

しかし、レーススピードで無いと分からないことが多く、レースをしながら路面を正確に読み取り、確実なラインを選択することが、レース中のポイントになるかと判断しました。

スタートは15分押して13時45分に変更。
スタート位置は2列目右寄り。

スタート直後の脚の掛かりが悪く、スタートでワンテンポ出遅れましたが、登りの最高地点までにベストポジションであればよいと考えていたので、焦らず、脚を極力使わなそうなラインで泥の登りを進んでいきます。


その後は、一桁順位まで上げ、マイペースに切り替えペースダウンやトラブルによって後退する選手を確実に捕えるべく、落ち着いてレースを進めます。


そのまま5周目終了時は6位で終了。

あと2周回。そう思った6周回目の登り、王滝の疲労か、疲れか分かりませんでしたがいきなりペースダウン。
その周回はなんとか堪えますが、登りで正確なラインを選択できるだけの脚の余力が無いといっても等しいくらいになってしまい、惰性でなんとか踏み続け進みます。

その6周目の最後のシングルトラックで、後続の選手に交わされてしまい、7位へ後退。
抜かされた選手は、佐藤誠示選手でした。

実は、毎周回後続の選手とのタイムギャップが開いていく中、常に変わらない位置で佐藤選手とは推移していて、理由がとても気になってはいましたが、抜かされてしまったシーンでその理由を理解することが出来ました。

コース中で一番最後に来るシングルトラックエリアは、マッドの登りはテクニカルでスピードが出ませんが、逆に下りもマッドによりテクニカルへと変化し、平均スピードが10km/h前後になってしまう、低速エリアでした。
登りで押しが入り、全てランニングするか、下りだけでも乗車するのかがポイントとなり、毎周回で微妙に変化していく路面状態を正確に把握する必要もありました。
しかし、乗車で下ることは落車を伴うリスクも同時に背負うことになります。

MTBerの方なら、乗車できそうな下りは出来れば乗車したい、そう考えるのが普通かと思います。
なぜなら、その方が圧倒的に見栄えが良い(笑)
乗車できない=かっこ悪い、なんて心の中では思ってしまうのではないでしょうか。私もその一人でした。
これは精神的な部分が大きいですが、乗車して気分が上がり、良いリザルトへと変化する場合も無くはありませんので、あくまで私見です。

しかし、私を抜かしていった佐藤選手のドロドロのシングルトラックを颯爽とランニングされている姿を見て、その概念は大きく変わりました。

レースは結果が全てです。最高カテゴリのエリートクラスの選手、その上位の選手であれば誰もがそう考えるかと思います。
結果からみれば、途中に何があっても、どんなに目立っても、どんなにかっこ悪くても、その結果でしかありません。

結果を出すために、落車等のトラブル無く、最終的に良いリザルトで一つでも上の順位に上がるためであれば、スタイルを選ばない。
自転車競技をやる者として、一番大切なことに気が付かさせて頂けました。

この考えに、レース中一人で心を打たれていました。


その後の7周回目 ラストラップは、まるで体に力が入らず惰性で進み、そのまま7位でフィニッシュ。

今シーズンのCJレースで、一番のマッドコンディションであったであろう、過酷なレースを終えました。


今回のレースは、マッドレースでのペース配分、脚を使わないでスムーズに走れるラインを判断する能力、そして見た目やスタイルにこだわらず自身が一番速く正確と思う手法で走る、この3点が大きなポイントになったのではないかと考えました。

久しぶりのマッドレース、王滝の疲労もありましたがレースとしては様々なことを得ることができ、とても勉強になりました。

今回も、応援、サポート、本当にありがとうございました。

王滝での優勝のお祝いの言葉も多く頂き、とても嬉しく思いました。

次戦は、ジンギスカップ、そしてCJ-1一里野、JCX小貝川と続きます。

それでは。

PAXPROJECT 宮津

photo by. Ito 様





2016年9月22日木曜日

自身の強さを活かし弱さを補う

自身の強さを活かし弱さを補う

SDA in 王滝の余談の話でもありますが、一番大事でもあった機材のポイントについてレースのレポートでは触れていなかったので、少し書かせて頂きたいと思います。

まず、今回の王滝120kmで今までの王滝と大きく変わった点は、何といっても乗る機材 バイクを替えた点でした。

PAXPROJECT FS-29er

今回はこの仕様での出走となりました。

ちなみに5月の王滝は以下の仕様でした。

・GIANT ANTHEM X advanced 29er

外見はガラッと変わりますが、バイクのジオメトリやポジションはほぼ同じになります。


それでは何故乗り替えたのか、の解説に入る前に表題にある
「自身の強さを活かし弱さを補う」
という意味について、気になった方は多いかと思います。

この意味について大まかに解説していきます。

自身と言うのは、言うまでもなく私に当てはまります。
私の走りのスタイルは、自身の走りを分析してそれをコースや対戦相手に合わせて変化させていくという手法を取っているつもりです。
このMTB競技の中でも、XCO(クロスカントリーオリンピック)とXCM(クロスカントリーマラソン)は登りと下りの複合競技であることが多く、そこをどう攻略していくのかが、レースのカギを握っていると考えています。
レースでのレポートでも記載しましたが、私は国内の"この"クラスにおいて、登りパートは比較的登れる方かと全体から見て分析していますが、逆に下りパートは果てしなく下位になるかと考えています。
今回の王滝の上位選手と比較しても、同じことが言えるかと思います。

このことから、自身の強さを如何に引き出し、逆に弱さをどう補わなければならないのか、という事にフォーカスを当てて、トレーニングや機材について考えてきました。

なお、今回のバイクは限りなく王滝の為だけの仕様になり、他のXCMのレースであれば変更する点は出てくるかと考えています。


まずは、登りパートにおいて。
通常の登りで最も大事であることは、軽さ、これは間違えないかと思います。
しかし、これは路面が一定であり、綺麗に踏むことができる場合のみかと自分は考えています。

それでは何を重視したか。それは、リアサスペンションの位置でした。

私は王滝に限っては、フルサスペンションバイク(以下:FS)の方がハードテールバイクよりもトータル的に速いと考えています。
前回使用していた、ANTHEMはいわばFSバイクのフローター型のになりますが、今回使用したFS-29erは4つのリンクが可動する4バーリンク機構のFSバイクになります。
どちらの機構も、アクティブ時のサスペンションのストローク量に大して差はありませんが、若干乗り味が異なります。

私の乗り味では、フローター型は重心が後ろにある時の運動に強く、4バーリンク型の方は重心が前にある時の運動に強い、と感じました。
私は王滝というステージにおいて、サスペンションの効果を発揮させてあげたいのは、下りではなく登りの方が実は強いのです。
したがって、重心が前にある時の運動に強い≒登りの運動に強い、4バーリンク型にシフトしたいと考えました。
乗り替えるにあたって、Rockshox monarch XX リアサスを移植時にHMチューンからMMチューンへ変更しましたが、それ以外は大きな変更点は無く、エア圧もほぼ同じでセッティングをしています。
今回の登りは、大雨の影響ではっきりと効果を実感することは出来ませんでしたが、5月の時よりも地面からの突き上げが強く若干の登りでの推進力が生まれたのではないかと考えています。

ですが、4バーリンクは下りではやはりフローター型に引きを取る、もしくは負けてしまうと感じる部分も同時に感じました。


次はその下りパートについてになります。
先ほどはサスペンションの位置に関しての話でしたが、下りパートではその位置以上に重要になってくることは、間違いなく制動力いわばブレーキの力と考えています。
王滝を一度でも走られた方なら分かると思いますが、レース序盤と後半のブレーキングの感覚はかなり違ってきます。
簡単に言うと、後半は握力が無くなり通常のようにブレーキを掛けることが出来なくなってしまうのです。
このブレーキングのミスで、コースアウトやパンク、更には落車という大事に繋がっていまうとうケースもあり、王滝のようなハイスピードな下り ダウンヒルにおいてこそブレーキの重要性を再認識します。

今回のレースで使用したブレーキは、SRAM GUIDE でした。

(画像はTwitterより)
 
このブレーキの特徴は、キャリパー側のピストンの数が通常の2個の倍の4個ある、という点になります。
つまり、より少ない力で高い制動力を得ることが出来ることが特徴になります。
従来のブレーキは2ピストンのものであったため、乗り始めの頃の違和感はかなりありましたが、今回のレースにおいては、このブレーキに後半は助けられたと言っても過言ではありません。

実は王滝前週のCJ白馬での落車の際に、左の手首を捻ってしまい、今回の王滝のレースも若干の痛みを残した状態でスタートしました。
序盤こそは痛みは出なかったものの、60km過ぎから左手首が痛み、通常のハンドルを握った状態ですら傷む状態でありましたが、痛む中でもそれなりのブレーキコントロールを行うことが出来ました。

XCOでは、上半身の疲労等はレース中に起こることはほぼ無いですが、XCMでそれも登りと下りが殆どを占める王滝であるからこそ、こういったブレーキにこだわるという事は必要かと考えています。


最後に表題に戻りますが、"速く走る"という行為を追求した時、やはりその人の得意な点と苦手な点が出てくる、これはどんなに完成されたライダーでもあるかと思います。
人によって考えは様々ですが、私はできれば得意な点も、苦手な点も補えるようなアプローチで"速さ"というものを追求したいと考えています。
自身の強さも弱さもしっかり把握し、それにあったトレーニングや機材も取り入れて行くということの重要さを、今回のレースで改めて実感することが出来ました。

また、こういった機材に関してのピックアップが少しずつできればと考えています。

それでは。

PAXPROJECT 宮津


Thanks for . Dirtfreak 様 , PAXCYCLE

SRAM GUIDE
PAXPROJECT FS-29er
PAXPROJECT カーボンファットリム リムテープレスver








2016年9月19日月曜日

SDA in 王滝 2016 120km

SDA in 王滝 120km

2016年9月18日(日)開催

出走カテゴリ:120km(100km+20km loop)

リザルト:総合1位

サポート・バイクメンテナンス:PAXPROJECT

Ride data of PAXPROJECT FS-29er Di2(prototype)with garmin edge 520

distance:115.3km time:5°57'09"  ave speed:19.4km/h

ave heartrate:155bpm  max heartrate:181bpm

normalized power:252w  training stress score:323.5  work:4,623kJ

機材について触れてみました。(後日追加)
http://yroppi88.blogspot.jp/2016/09/blog-post_22.html?spref=fb

国内で行われるXCM(クロスカントリーマラソン)の頂上決戦とも言える、SDA王滝の120kmの部門に参加してきました。

結果は総合1位でXCMの王滝関連では初優勝。
未だに信じられませんが、少しずつ実感が湧いてきています。

5月に行われた春の100kmでは総合2位。昨年の5月100kmは総合2位、9月は3位とあと一歩というこれまでの順位であったので、今は素直に嬉しいです。

それでは、レースの話について書かせて頂きたいと思います。


レースの展開については、5月大会と同様に今回も池田祐樹選手と、終盤までご一緒させて頂く形となりました。
レース序盤から雨脚が強まり、比較的遅いペースでレースが進みますが、最初の登りを終えた時点で既に池田選手と2人パックになります。
その後は、池田選手と先頭交代を交えながらペースの減少を最小限に抑えるべくレースを進めていきます。
レースが動いたのは、第3チェックポイントを過ぎた地点から。
登り返しで私がスーッと前に出て数100メートル進み、池田選手と2~3秒差がついたことを確認して、若干のペースアップ。
そこからの地点で逃げ切れるかどうかは微妙なところではありましたが、何とか最後まで逃げ切ることができ、120km総合優勝という形で終えることが出来ました。

photo by. m.ayano 様


そんなレースでしたが、レースの展開以外の点からも少し書きたいと思います。

まず、今回のレースの一番のポイントとなった点は、雨というコンディションでした。
それも単なる小雨ではなく、本降りである大雨といっても良い状態。

私自身、王滝参加はこれが5回目ですが、雨というコンディションは初めてでした。
そのため、入念な準備をした上でレースに臨む必要があると考え、雨、風等の様々な状態を想定しレースで使う備品を決めてました。

その中でも、とても迷ったものはウェアになります。
想定していたウェアは3パターン。
1, 上 長袖カッパの下に通常のレースウェア+下 ロングタイツ
2, 上 ウィンドベストの下に通常のレースウェア+下 膝下までのタイツ(ニーウォーマー)
3, 上 通常のレースウェア+下 膝上までのタイツ
結局レース直前の天候で判断し、2,の服装で今回は出走しました。

王滝のレースの特徴は、コースがある程度標高が高い場所で行われる事と、平坦が殆どなく、常に登るか下るかの運動をしているという事になります。

そのため、過剰装備は登りで必要以上に発汗を促進させてしまうネガティブに、また必要最低限の服装であると、下りでの急激な温度低下によって登りでのパフォーマンス減少に繋がるネガティブになってしまうという事を考えました。

今回選択した私のウェアは、そのどちらのネガティブな要素にも対応できるいわば中間の服装であったと考えています。
実際には、リアルスタートまでにウィンドベストは脱いでしまいましたが、例えベストを羽織っていたとしても十分ではなかったかと今は思っています。
対比させてしまい申し訳無いですが、ご一緒した池田選手の服装は3,の通常のレースウェアでした。
後にお話を聞きましたが、登り返しで脚が温まるのに若干の時間を要してしまったと語られていました。そのため、第3チェックからの登りで私の動きに反応できず、そこがターニングポイントになってしまったのではないかと考えています。
こうした、服装からも勝負の行方を左右してしまうところが、非常に難しい所でもあり、奥深い所でもあります。


次は、走りのスタイルに関して考えます。


5月王滝の展開についてご存知の方は分かっていらっしゃるかと思いますが、登りと下りにおいて作戦を持って臨みました。
(5月王滝についてはこちらから http://yroppi88.blogspot.jp/2016/05/sda-in-2016-100km_24.html 別リンクに飛びます)

私は今回の120kmの部門に出場された選手の中で、登りに関してのみは中々の自信がありました。同時に下りで他の選手よりも劣ってしまうと感じる点もありました。
そのため登りでの優位性を考えた上で、他の選手より早く登りを終えて数秒早く下り始め、下り終わりで追いつかれる、ないしは抜き返されても前の選手が見える範囲で次の登りに入る必要があると考えていました。

もちろん今回もその作戦をとって、池田選手とレースを進めていこうと考えていましたが、第1区間の登りが終わった直後でその作戦は今回に関しては通用しないと感じました。
その大きな原因は、雨です。
斜面を滝のように下り落ちてくる雨水や泥水から、登りの速度が思ったよりも上がらず、また下りも同様にコーナーでは路面が締まって曲がりやすいものの、直線になると、雨水の上を行く際に水が抵抗になってしまい、下りスピードが思ったよりも伸びません。
また雨での登りは、登りでのパワー消費の他に体温維持という行為によるエネルギの消費も同時に行っているため、登りで無理に先行しタイム差をつける作戦をとると、後半のペースダウンの原因に繋がると判断しました。また逆に、下りでの速度が上がらないため、無理にタイム差をつけずとも下りの区間でそうは差がつかないとも判断しました。

この登りでのエネルギロスと、下りの速度という観点以外にもう一つだけ実行したことがありました。
それは、登りにおいても下りにおいても、出来るだけこちらが先行するという形をとることでした。
通常の王滝でのレースとは異なった今回のレースですが、路面においてネガティブとなった点はやはり雨水。
下りにおいては、前走者のスリップに入りこもうとすると、水しぶきをモロに受けてしまうため、中々ぴったり後ろにつくということが難しい状況でありました。
また登りにおいても、身体重量やバイク重量を含む点から、ケイデンスの違いやライン選択の違いによるライダーの特性、またリアサスの位置(4バーリンク or フローター)によるサスペンションのアクティブ時での障害物を乗り越えるタイミングまで、考えだしたら限りが無いですが、こういったところを、後ろについて相手方に合わせてましてや雨の中で走る、と考えると私は先行の方が楽に自分のリズムで登れると序盤で判断しました。

そのため、出来るだけ池田選手より先行させて頂く形をとり、レースを進めました。
そういった点も、レース後半のスタミナに多少は反映出来たのではないかと考えています。


最後は、データの考察になります。

今回もリアホイールにパワータップを装着しレースを走りました。

今回のnormalized powerは252wと先ほども記載しましたが、出力に関してそれぞれのゾーンでの運動時間は以下の時間分布のようになりました。

 
今回は極力FTP以上の領域で踏まないように心掛け、最後までペースを落とさないページングをすることが目標でしたので、この目標は達成できたかと思います。

後は、出力、W' balance、心拍数の関係について。


W' balに関してはCJ白馬の記事で紹介しました。(http://yroppi88.blogspot.jp/2016/09/coupe-du-japon-cj-1.html
W' はマラソンレースなだけあって、緩やかな右肩下がりになることを期待していましたが、思ったより傾斜が緩かったのが特徴でした。
また、序盤の登りのペースはなりに身体に負担が掛かっていることが読み取られます。
心拍数ですが、第3チェック後の仕掛けで、そのまえの登りよりも平均で+5bpmほどあがるといった結果になりました。
これは、しっかりリズムアップをすることが出来ていると考えと良いと思います。

どの項目からみてもも分かることは、序盤の方が身体に負荷が掛かり、そのツケを中盤以降にどう対応し処理するのかという事になるかと思います。
XCMにおいても、機材や技術に進歩もありレースでの平均スピードが上がってきていますので、XCO(クロスカントリーオリンピック)のようなある程度速い動きに対応できる能力も必要になってくるかと考えています。
このデータから、ある程度速い動きをXCMのトレーニングにおいても積極的に取り入れて行く必要もあるかと考えさせられました。


ちなみに今回出会った(出会ってしまった)動物シリーズは、サル、オコジョ、カエル、後はクマ(ダム湖で池田選手が発見していました)でした。クマだけは、勘弁して欲しいですし、目が合わなくて良かったです。



最後になりますが、今回も多くの方に支えて頂きこのような結果を残すことが出来ました。
改めて、本当にありがとうございました。

次回のSDA王滝は、どうなるか見当がつきませんが、今年の自分を超えるような走りが来年はできればと考えています。

悪天候の中でしたが、参加された皆様、本当にお疲れ様でした。

それでは。

PAXPROJECT 宮津







2016年9月14日水曜日

Coupe du Japon CJ-1 白馬スノーハープ

Coupe de Japon 白馬スノーハープ

2016年9月11日(日)開催

出走カテゴリ:男子エリート(4.4km×6周回)

リザルト:8位/68名出走

サポート・バイクメンテナンス:PAXPROJECT

Ride date of  PAXPROJECT XC-29er Di2

distance:28.8km  time:1°26'05"  ave speed:20.1km/h

ave heartrate:175bpm  max heartrate:184bpm

normalized power:308w  training stress score:116.3  work:1,217kJ

全日本MTB選手権から2ヵ月、久しぶりのCJ戦 白馬スノーハープに参加してきました。

この夏は王滝に向けて乗りこむ事より、CJレースの登りでパワーを出せるような練習に着手し、FTP以上の領域を意識して練習してきました。

その練習のベースとなっている項目に関しては、以前書かせて頂ました。
http://yroppi88.blogspot.jp/2016/09/blog-post.html

前日の流れに関しては、いつものCJ戦と同じ。試走の段階で、自分が得意と感じるセクション、苦手と感じるセクションを探し、それぞれレーススピードを想定して速い動きを入れておきました。
また、苦手なセクションに関しては、何回かリピートし自身が納得の行くまで取り組みました。
しかし、速いライン、確実なラインにばかりフォーカスポイントがいってしまい、エスケープライン等の複数のラインを探すことが出来なかった点に関しては、失敗したなと考えさせられました。

レース当日。
前日に発泡酒等のアルコール摂取し気持ちよく睡眠でき、レース前日の自身にしては珍しい8時間しっかり睡眠することができました。
会場に入りのんびりした後、レース75分前からアップ開始。前日までの疲労が若干残り気味で、それも考慮して、ダッシュ系の動きを少な目に、アップ時間も短めにし、その代わりストレッチやイメージスィンキング等のリラックスする時間を多く取り入れました。


久しぶりのCJということで、若干の不安となんとなくワクワクする感覚を持ちスタートラインへ。
スタート位置は2列目右側。

スタートは比較的スムーズにいき、スタート直後の太鼓橋で出しきらず少しためるイメージで序盤のセクションを10位前後でクリア。とにかく、前半は周りの流れに乗り、ペースを維持することに専念します。


しかし、久しぶりの全開走行でのシングルトラックに直ぐ対応することが出来ず、思うようにスムーズなコーナリングが出来ませんでした。若干のマッドセクションで、必要以上にブレーキを掛けてしまい、コーナーの進入はある程度勢いがあるものの、立ち上がりで他の選手よりもワンテンポ遅れてしまします。頭では分かってはいるものの、身体は素直で脳の指令を聞こうとはしないものです(笑)。

それでも、登りパートにおいては太鼓橋や砂利の登り、中盤の舗装路の登りは積極的にダンシングを取り入れ、高出力の出せるようなクライムをしていきました。
登りで引き離し、下りのシングルトラックで追いつかれる。自分の典型的なスタイルと化してしまっていますが、今回もこのイメージを持ち、他選手との駆け引きをしていきました。


中盤以降は、多少順位を落とすものの8位でファイナルラップへ。

太鼓橋でスタートラップの次に高い出力を出すイメージでガシガシ踏んでいき、太鼓橋が終わった後のシングルトラックへ。
この第一シングルには、ラダーの間を丸太で繋いだセクションがあり、毎周回ヒヤヒヤしながら通過しましたが、この最終周回だけは、行ける!となぜか確信が持てました。
そしていよいよラダーセクションへ。丸太越えの部分に全神経を集中させ、ひょいっと行こうとします。が、丸太とラダーを繋ぐ僅かな段差、そこでフロントがスリップ。
その直後バイクは下に落下し、自分はラダーを勢いよくでんぐり返しで転がり落ちました。
一瞬何が起こったのか直ぐに理解できませんでしたが、立ち直った直後左手首が痛み、あ、コケたのかと実感します。
結局、ラダーセクションはクリア出来ず、行ける!と確信したのは何だったのだろうかといった感情しか浮かびません。
しかし、大きな怪我等は無く、レースは続行できそうであったため、無理のないペースでゴールまで走り順位変わらずの8位でレースを終えました。


CJ後半戦の初戦らしく、課題が多く見つかりレース内容としてはあまり満足の行くものにはなりませんでしたが、無事に終えてホッとしています。
出力面に関してはそれなりにやってきたものを発揮することが出来ましたが、やはり技術面に関しては欠落している部分が多く見受けられ、XCOの複合競技の難しさを痛感させられました。


レースデータの考察に移ります。
今回もリアホイールはパワータップを使わせて頂き、パワーデータをいつものように取りました。

先ほども記載しましたが、この夏に意識して強化した箇所は主にFTPから上の領域である、VO2maxとアネロビック強度での運動でした。

CJのコースの多くは、1周回12分~15分程で構成されており、1周回のうち登りを占める時間帯は1/3~1/2の割合になります。
ですが、5分以上連続で踏み続けるというシチュエーションは殆ど存在せず、ほとんどは数十秒から2分程の単発的な登りがメインとなり、これを1周回で数回登る、というのがコースの特徴です。

これを参考に、短時間の高強度を反復させる練習を多めに取り入れました。
またシッティングではなく、ダンシングで無理やり踏み切り、身体全身を使いいかに追い込み切れるかにフォーカスを当てて練習を行ってきました。

以下は今回のレースの出力の時間分布になります。


狙った通り、recovery領域の次に多い時間帯はアネロビック強度を含むmaximum強度の時間でした。
この点に関しては、夏場の成果が多少は出せたのではないかなと考えています。

W' balに関しての時間分布は以下の通り。


W'balance とはCP(クリティカル・パワー)(:ある時間あたりに出せる出力の限界値)を基準に考えた時に、CPを上回った時間で運動し続けた際に残っているエネルギの残量(と自分は考えています。)です。要は残量ですので、20kJが最大値(身体の余力max)、0kJが限界値(余力ゼロ、出しきっている)ということになります。レース時はゴールに向けてW'bal 0kJになるよう最大努力します。
ちなみにW' の単位は、運動量ですのでJ(ジュール)になります。

W1~W4については、W1:比較的余裕を持った状態で運動できている~W4:とてもキツイ といった指標数値になります。

このW'bal は出力と対比させて考えて頂くと分かりやすいかと思います。

以下の2つの折れ線は、1周回目のデータになります。
上部が出力、下部がW'bal になります。


序盤の2分間で、平均出力400wは上回りますが、W'bal は降下し0kJに近づいています。
この2分間はスタートでのもがきと太鼓橋の区間で、コース中で一番負荷が掛かるセクションではないかと考えていますので、エネルギをそこでしっかり消費出来ていることが分かります。
その後はW' は徐々に回復傾向にありますが、細かいアップダウンがある度にW' の値は増減していました。
今回は省略しますが、2周目以降もグラフの概形はほぼ同じになりました。

この数値やグラフから分かることは、XCOの競技の特性である、短時間で高強度の運動が入ることと、それを如何に短時間で回復させられるかがカギを握っているのではないかと考えています。

何度も言っているかと思いますが、複数の項目が混ざったXCO競技で登りパートはその一部分に過ぎませんが、一番効率よく練習で効果を引き上げられる部分であるからこそ、自らのデータを解析し、試行錯誤することは必要であると私は考えています。

ですが、私は下りパートが苦手(下手くそ)ですのでそちらの強化方法も探さなければと思っていますが、これに関してはひたすら感覚を磨くしか無いのかと思いますので、イマイチ書き辛いものです。

年内にCJ戦は少なくとも残り3戦はありますので、残りのレースは今回の結果を活かせればと考えております。

そしてついに、今週末はSDA王滝120kmとなってしまいました。
王滝に対応した練習は殆ど出来ませんでしたが、出るからにはしっかり納得の行く走りができればと思います。

それでは。

PAXPROJECT 宮津

photo by. tsumita様, ito様  いつも ありがとうございます。

2016年9月2日金曜日

トレーニング方法の確立と効率について


前々からずっと書きたいと思っていた項目です。
私自身、トレーニングをするなら質の良いものを出来るだけ取り入れ、常日頃から色々と考えながらトレーニングすことを心掛けています。(つもりです) 

また、予め断りを入れさせて頂ますが、記事として上げる方法や手段はあくまでも一例であって、私自身に最適化して考えついたものです。参考までに、適当に読んで頂ければ幸いです。

なお、今回は私の専門分野であるXCO(クロスカントリーオリンピック)のMTB競技の登りに的を絞って考えていきたいと思います。


最初に、トレーニングをする目的とは…
これは、人によって様々あるかと思いますが、私はなによりレースで結果を出すことを最優先にしてトレーニングを行っております。
ここで重要となることは、レースで結果を残すためにはどのような練習を取り入れなければならないのか、と考えることになります。XCOは半分以上登りがメインになる競技であり登りをトレーニングで強化するという考えが一般的になります。
となると、登坂のトレーニングに重点を置く、もしくは登坂に近いシチュエーションでのトレーニングに着手する、という考えに至るかと思います。
ここで私が着目した点は、トレーニングからレース時と同じ時間で同じ強度もしくはペース・リズムで行う必要があるかどうか。答えから言うと、これはyesです。
この理由は、実に単純な思考からきてまして、「練習で出来なければ、試合でも出来ない」という考えがあります。
しかし、レース時と同じということはトレーニング後のダメージもレース後と同じもしくはそれ以上(レースのように調整せずに取り組むため)となることは読めるかと思います。
問題は、いかにしてレース時に近い動作をトレーニングのダメージも考慮しながら継続出来るか、これに的が絞られます。

私の場合、基本的に長い時間のトレーニングを出来る日は土日のみ(現在は少し違います)ですが、土日よりも平日の方のトレーニングを充実させられるように心掛けています。
これは、土日にレースがあるため土日に重点を置くトレーニングをしてしまうと、平日のルーティンが疎かになってしまい、土日までにパフォーマンスを良い状態に持っていくことが難しくなってしまうためです。

私がトレーニング効率に関して主に考えていることは以下の3つです。

① トレーニングをするにあたって、追い込みすぎても、追い込まなさ過ぎても駄目。程よい感覚で終えられるようにする。

② 一定期間、同じメニューを繰り返し行う。

③ パラメータ(パワーメータ、心拍計 etc)を上手く利用する。


まずは①から解説に入ります。
先ほどの話にもありましたが、レース時と同じ時間で同じ強度もしくはペース・リズムでトレーニングを行う必要があると記載しました。
しかし、レース時と同じということはトレーニング後のダメージもレース後と同じもしくはそれ以上となり、日によって体調のバラつきが生じやすくなってしまい、トレーニングの継続が難しくなります。
逆にレース強度に達しない状態で、レースよりも極端に少ない時間のトレーニングをする。これでは、先ほどの概念から外れてしまいます。
自身が継続できるような、レース時に近い動き、動作を探る必要があります。

次に②について。
一定期間と言うのは少なくとも1ヵ月以上、それも毎日ではなく週に1~3回程度になります。これを行う理由は、同じ状態でメニューをした際に過去との比較がし易いからです。過去のデータは多ければそれに越したことはありませんが、例え1つのデータだったとしても前回に対してどう変化したのかを把握出来ることにより、次回以降のトレーニングにそれを活かせることは十分に可能です。思いつきでメニューをやる、毎回メニューを替えるよりかは、既にあるメニューを行う方が、組んだメニューに対する信頼性やメニューを考える時間等も省くことができ、精神的にも負担は少なくなってくるかと思います。

最後は③について。
これはあくまでも補助的なツールであり、一番良いのは、本人が感覚で自身をコントロールしトレーニングするということになりますが、一般的な人間であればそれはかなり厳しいです。(少なくとも私は無理) 距離・時間・心拍計・パワーメータ、この4つのパラメータのうち3つ以上利用できれば満足のいく練習と必要なデータ採取は可能かと思います。(距離・時間から速度は出せる)


以上の3つを踏まえた上でひとつのメニューを春先から実践しています。

メニュー条件
平日の火曜~木曜のうちどれかの日で週に1回実践する。

・3.5km  平均斜度5~6%の登り × 2set (同じコースで計測地点も同様に設定)
・時間:11分~12分
・心拍数:最大心拍の85%前後(±10bpmまで許容範囲)

以上の3つをパラメータとして考え、4つめのパラメータとしてパワーメータを使いデータを取って、のちのデータ比較をし易いようにしていますが、基本的には上記の3つで行っています。なお、パワーデータでの比較として利用するのは、主にNP(normalized power)を利用しコース中での標準化出力に着目しています。


3つのパラメータの解説に移ります。
3.5km 11~12分 × 2et :これは時間を倍にすると22~24分、XCOの競技の約90分中で登りでのこの領域もしくはそれ以上で踏む時間がだいたいこれの1.5倍ぐらいの時間になります。

以下は、6月に行われたCJ-2妙高のパワーの時間分布データです。


L1で脚を休める時間の次に多いのは、なんとL4~L6といったFTPやVO2max、アネロビック強度での運動なのです。そしてこのL4~L6での運動時間は約35分。
一回のトレーニングでレースと同じ強度での運動という点は、完全に満たせてはいないものの、それに近づいた時間でのトレーニングはなんとなく達成出来ています。

ちなみに、メニューでのコース 3.5kmでのNPは330w~360wほどです。(5.0~5.5w/kg)

最大心拍数の85% という数字に関して : これはあくまでも推測になりますがXCOレースでの平均心拍数は90%をほんの少し下回る値になります。
しかし、平均心拍数であるのでもちろん下りで脚を休めている時間も含まれるわけであり、登りだけで見ると90%付近かそれを少し上回る域で踏んでいます。
以下はCJ-2妙高のハートレートの時間分布データです。


最高強度のzone5で少なくとも20分、またそれに迫る付近zone4で60分で運動をしています。
本来zone5なるものは、練習でその領域に持っていくことが一苦労どころかかなり追い込まないと上げられません。
しかし、レースであればアドレナリンや緊張による鼓動の上がり、その他の要因からも簡単に最大心拍の90%に上がってしいます。
その90%から5%差し引いた値である85%でありますが、XCOの競技時間に対応しているという理由以外にもう一つこの領域で行う理由があります。
それは、身体に「余裕を持たせる」ことです。
あえて追い込みすぎず余裕を持たせる。これは、精神的に余裕を持った状態でトレーニングするという考えがあります。
タイムアタック等の全開走行時では、目先のファクター(タイム短縮・コースの攻略 etc)に囚われがちになります。
全開時よりも一歩引いたzoneでのトレーニングでは、精神的余裕を持たせることにより、良い集中の方法を探る、またフォーム・ペダリングをある程度意識した状態でのトレーニングが出来ることが可能と考えています。
また、交通事情により、対向車が来てたとしても、それなりの対応をし対処することも可能かと思います。

やみくもに全力で追い込むトレーニングで、自身のピークを把握することは意外と難しいです。
追い込める日もあれば、追い込めない日ももちろん存在し、結局その日のトレーニングのピークを把握することしか出来ません。
最適化された領域を定めて運動することにより、日によってのズレを修正しようとする動きが働いて、レースでの安定感という別の副産物を得られることも十分可能です。

領域を定め、それにあった時間の運動を行う。
これが、私のトレーニングの真骨頂でもあります。


以上での内容は、平日ルーティンの固定メニューとして約半年続けてきました。
その結果はこのようになっています。


このグラフは、このコース中の後半にあるセグメントのタイムリザルトを4月ごろから現在に至るまで表したものです。(1回のトレーニングに2度同じコースを登っているため、1回で2つの○が存在する)
○の位置にばらつきがありますが、全体的に○が右肩上がりになっていることが分かります。
もちろん全て同じ気候条件ではないので、天候や気温によってタイム差は生じますが、最大心拍数の85%付近のゾーンで行うことは守ったうえで、ラストにペースを上げる等のアレンジを入れています。
数値やデータからでは大体の向上しか読み取ることは出来ませんが、体感ではかなりの効果を得られているように感じています。


トレーニングに「必ず」といった正解は存在しません。
大切なことは、例え効率の悪いであろうトレーニングでも、自身で確立した根拠を持って継続的に取り組むことかと思います。

今回はトレーニング効率から、私自身のメニューの一例の紹介を簡単にさせて頂きました。
また機会があれば違うネタでも書ければと思います。

written by:yuroppi