2017年5月23日火曜日

SDA in 王滝 2017 100km

SDA in 王滝 100km

2017年5月21日(日)開催

出走カテゴリ:100km (one-way course)

天候・コースコンディション:晴れ・ドライ

リザルト:総合1位

サポート・バイクメンテナンス:PAXPROJECT, IRC tire

Ride data of  PAXPROJECT FS-29er prototype Di2 with garmin edge 520 (Strava data)

Distance:93.9km  time:4°35'50"  ave speed:20.4km/h  elevation gain:2338m

ave heartrate:162bpm max heartrate:182bpm

Normalized power:271w TSS:267.8 work:3,639kJ


wheel / tire:PAXPROJECT carbone fat rimtape less / IRC tire MIBRO  for marathon TLR front&rear 1.8 bar

Power data recording medium:SRAM XX1 Quark (wolftooth 34t)


SDA in 王滝 100km の部に参戦してきました。

昨年9月に行われた120kmの部門で優勝しており、今年も勝ち"連覇"をしなければならないというプレッシャーを感じておりました。
その反面、今シーズンは王滝チャンプであることを口実に、練習やレース面において若干のおごりがあったことも事実です。
しかし、4月末のUCI marathon series Australia に出場してからはおごりは一切無くなりました。
というのも、結果はボロボロで更に国外との差を改めて痛感し、私自身の本当の弱さと向き合い、どのようにすればもっと速く走ることができるのか、という点を一から考え直させられました。
そのこともあり、今回のレースは"ディフェンディング・チャンピオン"ではなく"挑戦者"として、昨シーズンまでの私は捨て新たな気持ちでこの大会に臨み、調整を積んできました。

また、挑戦者として臨むからこそ、新しい項目にチャレンジしたいと思う気持ちがあり、今回は2014年に山中選手によって記録されたコースレコードの4時間28分06秒、という明確なタイムに少しでも近づき、近年の5月王滝100km上位走者のタイムが低迷している状態を変えたいとも考えておりました。


レース当日は、昨年9月の大雨とは打って変わっての快晴。
あの大雨のレースを経験してしていただけに、天候が良いレースになりそうなことに、余裕を感じてしまいましたが、この時は"暑さ"が走りに影響するとは考えもしませんでした。

レース前のウォーミングアップは、短い時間でしっかり発汗させておくことを意識します。
パレード区間で体が冷えてしまうと、その後の走行に影響がでることを昨年度のレースで感じその反省を生かしました。
3本ローラーにて10分程で仕上げます。

また、昨年度のキングオブ王滝が私であることから、今回はレース前に選手代表として安全祈願を受け、お祓いをして頂きました。
photo: h.miyazu
100km部のレースは早朝の朝6時にスタート。

photo: h.miyazu
未舗装路に入るまでの移動区間である舗装路はパレード走行。

10分ほど走行し未舗装路に入りリアルスタート。
私が先行し、勢いよくコースに飛び出していきました。

今回のレースはそれなりにタイムを意識していただけに、集団で牽制しながら進む行為を私は避けました。
そのため、ある程度速いペースに合うライダーが居ればその選手と、もし居なければ最初から独走する思考でレースを進めていきました。

その中でも、過去にキングオブ王滝の経験があり、王滝のコースを熟知されている team SCOTTの松本選手と第一区間の最初の登りが終了した時点でランデブ状態になります。

2人のパックで走行していきながらも、完全に密着している訳ではなく、起伏が多い尾根沿いの区間はお互いの優位性がある区間で先頭を交代していき、ハイペースを保ちました。
松本選手は登り返しからの動きがとてもスムーズで、下りで固まった脚を上手くほぐすことができるような高めのケイデンスでペダルを回し、毎回の登り返しで若干の差をつけられてしまったように感じました。
それでも、決して引き下がろうという思考は考えず、私も登りや下りのどちらにおいても積極的に前に出てペースを保つことに努めます。

第一チェックポイントが徐々に近づき、タイムを意識し始めますが、予定タイムよりもかなり早く通過してしまいそうな流れ。
松本選手にもその旨を確認しましたが、日中暑くなることを予想しての前半のハイペース、と語られていました。

第一チェックポイントは、1時間44分30秒前後。
予定通過タイムは、1時間47分。

このタイムが、オーバーペースか単に調子が良いだけかはこの時点では把握できませんでした。

その後は若干ペースが落ちたように感じられましたが、尾根沿いからダム湖周辺の区間に向かう長い下りで上手く私が抜け出し、単独のトップに立ちます。

ここからは、ゴールまでひたすら一人旅。
脚も良く動き、腰や手首の痛みもさほど出ていない状況であったことから、今日は調子が良い、コースレコードを狙っていこうという思考に切り替え淡々と踏んでいきました。

しかし、第二チェックポイントを前に身体状況が変化していきます。
気温が急激に上昇し始め、脱水や熱中症を感じさせられる若干の寒気と空腹、更には心配していた腰痛が悪化し始め、ペダルを回す脚に勢いがなくなりつつありました。

第二チェックポイントは、3時間11分で通過。
予定タイム3時間10分からは1分遅れでしたが、前半のタイムから考えるとペースは相当落ちていると感じ、感情が余裕というポジティブから、焦りや不安といったネガティブへと変化していきました。

その後の走りも、先ほどのような力が出ず、本来のパフォーマンスを発揮出来ていないと感じ、精神面のモチベーションもかなり低下してしまったと感じました。

そして、このコース一番の難所でもある第二チェックポイント後のガレ場の登り区間に突入。
この区間にギリギリ足りるようなギア比(34t × 40t, ギア比:0.85)の機材構成で臨みましたが、全く踏み切ることができず。
また、腰痛もピークに達してしまい、自転車に跨っていることすら辛くなってしまいます。

身体は限界を超え、精神面も負の感情ばかり。
これではどうしようもないと考え、一度自転車から降りる決断をしました。
10秒ほど立ち止まり、痛む腰を伸ばして気持ちをリセットしました。
その後はまた自転車に跨りますが、先ほどと同様に力が出ず、惰性でなんとか進みます。

そんな中考えたのは、4月末に行われたUCIのマラソンシリーズでの走り。
その際も、後半ペースを落としてしまい、今回と同じような状況になったことを思い出しました。
2度も同じ失敗を繰り返す訳にはいかない。
弱い自分が絶対に許せませんでした。
それと同時に、私の思考が徐々に攻めの気持ちである本来の思考に戻りつつあり、身体が痛み本来のパフォーマンスが発揮できないと分かってはいながらも、最後まで攻め続けよう、というポジティブな思考に戻りました。

第三チェックポイントを前に42km部門の選手との並走区間に入ります。
速度差があるので、お互いが安全に走行できる間隔で抜かすことを極力心掛けました。

第三チェックポイントは3時間48分。
予定タイムの3時間45分からは3分遅れで、コースレコードからは完全に遠のいてしまいました。

しかし、攻めの気持ちは変わることはなく、出し切るつもりでペダルを踏みこんでいきます。
その中でも、支えになったのは42kmの部門の選手でした。
どの選手もこちらが声を掛けるとスムーズに避けて頂き、更には応援や激までも頂いてしまいました。
苦しい思いをしているのは、私だけではない。
どの選手も、ゴールするために必死にペダルを回している。

身体はどうなっても良いからただ単純にゴールを目指そう、というとても大事な初心に戻ることができました。

86km過ぎの最後の登りを終え、最後の長い下り。
左手首が痛み出したものの、自然と笑顔になり、走っていて楽しい、という感情に戻ることができました。

ゴールが近づくにつれてペースが上がり、下りを楽しみながらも、最速のベストラインで攻め、最後の最後まで集中して走りました。

遂にゴールゲートが見え、優勝を確信。

無事に昨年9月からの連覇、総合優勝という形でレースを終えました。
photo: h.miyazu
タイムは4時間35分50秒。
コースレコードには遠く及びませんが、この時出せるパフォーマンスを出し切った結果なので、結果として素直に受け止めています。


振り返ってみて、今回のレースは今までに経験したことのないような事象がレース中に起こってしまい、また前半のオーバーペースのツケを後半にどう処理をするのか、という点が大きなキーポイントとなりました。
中でも、予想外の腰痛や、精神面の乱れからくるパフォーマンスの低下等、レース中に発生した問題をレース中にどう良い方向にもっていけば、本来のパフォーマンスに状態を戻すことができるのか、という点については改めて考えさせられました。
それでも、UCIのマラソンシリーズではできなかった、前半から積極的な動きというものはしっかり出来たのではないかと思いますし、すべてが悪いことばかりではありません。
さらに、独走をする=孤独、自身との本当の闘い、というイコール関係になることもとても良く理解することができ、私は精神的にまだまだ弱いな、と実感させられました。

良かった点、悪かった点をしっかり把握し、次回のSDA in 王滝に繋げられるよう、課題を持ち今後も取り組んでいきたいと考えております。


最後になりましたが、今回はレース前からレース後まで、本当に色々な方にお世話になりました。
この場をお借りしてお礼申し上げます。
本当にありがとうございました。

photo: h.miyazu
次回の王滝は3連覇が掛かるレースとなりますが、チャンピオンではなく、コースに挑む一人の挑戦者として、また戦わさせて頂ければと思います。

次戦は5月末のCoupe du Japon富士見、その後もレースは続きます。

レースに関与された方々、参加された皆様、改めてありがとうございました。
そして、お疲れ様でした。

team PAXPROJECT 宮津


Special Thanks,

PAX CYCLE:FS-29er, carbone fat wheels

IRC tireMIBRO for marathon TLR 29

dirtfreak:RockShox SID 29 & Monarch XX, SRAM GUIDE ULTIMATE

HT pedal:LEOPARD M1

Alternative Bicycleswolftooth 34t PCD104

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